小児成長ホルモン治療適応判定
成長ホルモン分泌不全性低身長症
ヒト成長ホルモン治療適応基準 2024.10.1改訂
Ⅰ.ヒト成長ホルモン治療開始時の適応基準
1.骨年齢
日本人小児TW2法RUS法(推奨される測定法)で、男子16.0歳以下、女子14.6歳以下。
それ以外の測定法では、男子17歳未満、女子15歳未満。
2.身長発育
現在の身長が同性、同年齢の〔標準値-2SD〕以下、あるいは身長が正常範囲であっても成長速度が2年以上にわたって同性、同年齢(暦年齢が男子11歳以上、女子9歳以上の場合は、骨年齢を暦年齢とみなす)の〔標準成長率-1.5SD〕以下である場合。ただし、頭蓋内器質性病変や他の下垂体ホルモン分泌不全がある場合の成長速度については、2年以上にわたるか否かを問わず(目安として6か月~1年間にわたり)標準値の-1.5SD以下で経過している場合。
3.症候性低血糖
乳幼児で、成長ホルモン分泌不全が原因と考えられる症候性低血糖(発汗、蒼白、四肢振戦、頻脈、意識障害、けいれんなど)が見られる場合。
4.頭蓋内器質性病変や他の下垂体ホルモン分泌不全の合併
頭蓋内器質性病変【頭蓋部の照射治療歴、頭蓋内の器質的障害、あるいは画像検査の異常所見(下垂体低形成、細いか見えない下垂体柄、偽後葉)が認められ、それらにより視床下部下垂体機能障害の合併が強く示唆された場合】や、他の下垂体ホルモン分泌不全の合併が明らかな場合。
5.成長ホルモン分泌刺激試験
インスリン負荷、アルギニン負荷、L-DOPA負荷、クロニジン負荷、グルカゴン負荷、または、GHRP-2負荷試験において、負荷前および負荷後120分間(グルカゴン負荷では180分間、GHRP-2負荷では60分間)にわたり、30分毎(GHRP-2負荷では15分毎)に測定した血清(漿)中成長ホルモン濃度の頂値が6ng/ml以下(GHRP-2負荷では16ng/ml以下)である場合、低反応とする。
適応基準
適応の前提として、上記の1.を必ず満たすこと。
1)2.を満たし、かつ2種以上の成長ホルモン分泌刺激試験で5.に示す低反応を認めるとき。
2)3.を満たし、かつ1種の成長ホルモン分泌刺激試験で5.に示す低反応を認めるとき。
3)2.と4.を満たし、かつ1種の成長ホルモン分泌刺激試験で5.に示す低反応を認めるとき。
ただし、2)、3)の基準による場合、3.、4.の妥当性について、成長ホルモン適正使用推進委員会で審査を行う。
なお、適応判定に用いられた成長ホルモン分泌刺激試験の1つ以上が申請日から遡って「2年以内」の実施でなかった場合は、慎重に診断することを推奨する(推奨1)。
◎判定結果は、ヒト成長ホルモン治療適応判定書等の文書により、お知らせいたします。
Ⅱ.ヒト成長ホルモン治療継続の適応基準
1.以下の条件を満たしたときに、治療継続の適応があると判定する。
成長速度 ≧1.0㎝/年
ただし、治療1年目で、「a.成長速度≧6.0㎝/年、b.治療中1年間の成長速度と治療前1年間の成長速度の差≧2.0㎝/年」のいずれも満たさない場合は、効果が不十分である可能性があることから、成長ホルモン分泌不全性低身長症としての成長ホルモン治療の適応を再検討することを推奨する(推奨2)。
1)上記の治療継続の基準、すなわち、成長速度 ≧1.0㎝/年を満たさない場合
ただし、基準を満たす場合であっても成長速度 ≧2.0cm/年を満たさない場合は効果が期待できないので、成長ホルモン治療の中止を積極的に検討することを推奨する(推奨3)。
2)骨年齢が、日本人小児TW2法RUS法(推奨される測定法)で、男子16.0歳、女子14.6歳を超えた場合。それ以外の測定法では、男子17歳以上、女子15歳以上に達した場合
3)重篤な有害事象が生じたとき
◎判定結果は、ヒト成長ホルモン治療適応判定書等の文書により、お知らせいたします。
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